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【官能小説】となりの樋口さん 第5話 「僕が守る」

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樋口さんのオナニーは、他の人間には絶対に聞かせたくない。

壁にかけた時計はすでに9時5分をさしていて、いつ樋口さんが帰ってきてもおかしくない状態だ。
そして帰ってきたら、今日もオナニーを始めてしまうだろう。
もう何日も連続で、毎晩オナニーをしている樋口さんが、今日にかぎってしないという都合の良い展開などありえない。
もう、あと数十分もすれば、となりの部屋から、あの声が聞こえてくるのは、変えられない運命なのだ。

「でさ、そのマンガがさ・・・」

会話は終わりに向かうどころか、太一はどんどんど饒舌になり、このパターンはオールするパターンだ。
樋口さんのオナニーが始まる前に、なんとか太一に帰ってもらう方法はないか考えたが、、、

ない。
というか、帰れとは言いづらい。
太一は悪いヤツではない。
僕と分け隔てなく接してくれる、貴重な友達のひとりだ。
久しぶりに飲みに来た彼に、帰れとストレートに言う事などできない。

しかし、樋口さんのオナニー声は、特に太一には聞かせたくない。
もちろん誰にも聞かせたくないのだが、特に聞かせたくない。
太一はいいやつではあるが、女には節操がない。
いわゆる取っ替え引っ変えというヤツで、二股してるのも当たり前だったり、絵に描いたような女の敵だ・
そんなヤツに、あの純朴で可憐な樋口さんの秘密を知られるわけにはいかない。

僕は今まで、ある二文字の言葉をごまかしてきたのかもしれない。
そうなのだ。
きっと僕は樋口さんの事が<好き>なのだ。
毎晩彼女のオナニーの声を聞き、一緒に射精し続けるうちに、僕はいつの間にか好きになっていたのだ。
僕にとって、樋口さんのオナニー声は、もはや単なるオカズではない。

毎日毎日、樋口さんのイクタイミングに合わせて射精する、擬似セックスを繰り返してる。
樋口さんが3回イクのなら、僕も3回射精する。
エッチな彼女にセックスをせがまれる彼氏という妄想をしながら、樋口さんのバーチャル彼氏を自分の中だけで演じ続けている。

「あっ!あっ!気持ちいい!!」
「僕も気持ちいいよ!!好きだよ美樹」
「ねぇ・・・中に出して!!」
「いいの?中に出したら妊娠しちゃうよ?」
「そうなってもいい・・・精子がほしいの」
「このまま中でだされたら、きっとすごくイク・・・」
「わかった、中で出すよ」
「うん!お願い!」
「イ・・・ク・・・」
「イグぅぅぅぅ!!」

なんて事を妄想してチンコをしごいている。
自分でも呆れるくらいの脳内彼女。
妄想セックス。
だけど最後の、相手のイク時の声は実際にとなりの部屋から聞こえてくる、樋口さんの肉声だ。
だから、セミ妄想セックス。
こんな僕の事を、他人はキモイとか思うだろう。
しかし、童貞で女友達もいない男子大学生にとって、同級生のオナニー声というのはあまりにも刺激的すぎた。

他人がどれだけキモイと思うかは知らない。
しかし、僕は気づいてしまったのだ。
樋口さんの事が好きだ。
この子の事を守りたい。

ガチャ

その音に、僕の心臓は口から飛び出そうになる。
となりの部屋の玄関の開く音だ。
ついに彼女は帰ってきてしまった。

「そんで、前に付き合ってた女と・・・」

太一の話は耳に入ってくるが、入ってくるだけ。
太一はすでに酔い始めていて、今ここで彼を帰す方法など、天才軍師・諸葛亮孔明でも思い浮かばないだろう。

ドクン・・・
ドクン・・・

頼む!!
樋口さん気づいてくれ。
いや、部屋の壁が薄い事には気づかないでくれ。
しかし、今は危険なんだ。
今、オナニーをしてはいけない。

ドクン・・・
ドクン・・・
ドクン・・・

その瞬間、僕は思ってもみなかった行動に出てしまう。

スク・・・
タタタ
ガチャ

「お、おい・・・どうした?」

僕は急に立ち上がると、部屋の外に出ていた。
急な行動に、さぞ太一も驚いた事だろうが、今の頭の中に彼の事は一切ない。

僕は気がつくと、樋口さんの部屋の玄関の前に立っていた。

・・・

ピンポーン

一瞬のためらいはあった。
しかし、僕は樋口さんの部屋のチャイムを押してしまったのだ。

===続く===

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